こんなセミナーでした!
POINT1:日本のエンジンは中小企業?!
POINT2:「どうなりたいか」がまちづくりの鍵
POINT3:つべこべ言わずにやってみる!
第63回MACHIBIYAセミナーは、経済産業省の課長補佐を務めていらっしゃる藤田歩(ふじたあゆみ)氏にご講演いただきました!
経済産業省として日本を支えるために…
経済産業省の最大のミッションは、富を生む、つまり経済を活性化することです。
経済産業省では、衣食住の食以外の人々の生活に関わるものやことを担当しています。
毎年6月に発表している成長戦略や骨太方針を作成して国のお金の使い道を決めるだけでなく、実際に様々な部門に入り込んで施策も行います。
ところで、日本の企業のうち「中小企業」の数はどれくらいの割合か知っていますか?
なんと日本の企業のうち、99.7%は中小企業です。
つまり、中小企業は日本のエンジンといっても過言ではありません。
経済産業省は、補助金や法規制を導入するなど、様々な形で中小企業を支援し、日本を支えているのです。
まちづくりとは…
みなさんはどうなればまちづくりは成功したと言えると思いますか?
まちの事業者が儲かるようになれば、まちづくりは成功でしょうか?
たしかに、まちで事業者が儲かることは雇用や所得を生み出すため、成功のための一つの鍵ではあります。
しかし、「まち」というのは人々が住んだり食べたりする、生活の場です。
まちづくりで大切なのは、実際にまちで生活している人々の立場に立って、「As is(現状)」と「To be(どうなりたいか)」の2つを把握・理解することです。
まちづくりでは、地域を活性化するための解決策をただ考えるのではなく、「どんなまちをつくりたいのか(To be)」を明確にすることが重要なのです。
では、誰がまちづくりをするのか。
それは、まちの住民です。一部の熱心な人や市町村の役場の人に任せるのではなく、出来るだけ多くの人が参画し、具体的な行動を取っていくことが理想です。
住民には、
・周りに構わず熱心にまちづくりに取り組む「ばかもの」
・発想が柔軟な「わかもの」
・客観的な視点を持つファシリテーター型の「よそもの」
など多様な人々が揃っていればいるほどまちづくりは活性します。
また、役場の職員も議論や課題を整理したり、議論の場で実例を出したりする「第4のプレイヤー」になることで、まちづくりを促進します。
藤田氏は、自分自身はまちづくりにおいて「チアリーダー型」であると言います。
まちづくりは、10年20年とかなり長期戦になります。最初は意気込んでいても、資金不足や失敗が重なることで息切れしてしまうことが多いそうです。そんな中、適切な支援策を提示したり、方向性を修正したりします。また、具体的な支援をするだけでなく、「経済産業省」が応援しているということを人々に伝えることで精神的にも支えています。
「わかもの」へのメッセージ
つべこべ言わずにやってみる!
藤田氏のいう「わかもの」というのは年齢の若い者ではなく、発想が柔軟でエネルギーのある人です。「わかもの」、とくに大学生は、世の中が寛容に受け入れてくれるという特権があります。何にでもチャレンジ今だからこそ、できるだけたくさんのことにチャレンジしてほしい!
「どんなにインプットをしてもアウトプットをしないと意味がない」
藤田氏が尊敬する高野誠鮮氏に言われた言葉だそうです。
自分がインプットしたことを、いかに一歩踏み出してアウトプットするかが大切であるかを改めて気づかされたと言います。
そんな高野氏は羽咋市の元職員で、ドラマ「ナポレオンの森」の主人公のモデルになった方です。羽咋市の神子原地区でとれる上質なお米をローマ法王に献上し、神子原米をブランディングしました。連日会議ばかりで行き詰まっていたところ、高野氏がとりあえずローマ法王に手紙を書いたことで、神子原米を有名にすることができました。
ただ考えるのではなく、とりあえず行動してみたことが成功につながった素晴らしい一例です。
私たちには、気づいていないだけでたくさんの選択肢があります。
戦国武将はなぜ強かったのか。それはたくさんの情報を持っていたからです。
現代に生きる私たちは、スマホや本からたくさんの2次的な情報を得られます。しかし、それだけではいけません。人同士で話すことで得られる3次的な情報も吸収して、自分の選択肢を広げてみましょう。そうすることで、自分の持つインプットに幅が出て、一歩を踏み出しやすくなることでしょう。
とにかく、
つべこべ言わずにやってみよう!!
質疑応答
Q.ファシリテーター型というのは、どういった人がなっているのか?また、どういった性質があるのか?
A.元リクルートの藤崎慎一さん。
ファシリテーター型の人は、端的にいうと「As is」と「To be」をしっかり整備できる人です。しかし、ただ「To be」を整理するのではなく、10年20年見据えて最初から最後までまちづくりに携わっていく必要があります。
Q.インプットとアウトプットの話を聞いてから、1番はじめに行ったアウトプットはなんですか?
A.話を聞いてすぐに何かを実践したというよりは、その話を受けて今まで自分がしてきたアウトプットに気づくことができました。
とくに、2011年になでしこジャパンの国民栄誉賞の副賞を選ぶ際には、自分の今までの地域との繋がり(インプット)が活かされた出来事であったと思います。
Q.茨城県の水戸市はどのようにまちづくりをしていけばいいと思いますか?
A.水戸市の人口規模では、自治体と住民全員が一体となって地域を活性化させるのは難しいです。1つ1つのことを地道に着実にやっていくことが大切だと思います。
Q.インプットとアウトプットはどれくらいのバランスで行えばいいですか?
A.インプットに比べてアウトプットをすることは圧倒的に難しいです。詳しい割合はそれぞれだと思いますが、10インプットしたら1アウトプットするくらいの気持ちを思って、踏み出すことが肝心です。
Q.不景気の中で、地域を活性化していくのに必要なことは何ですか?
A.ミクロ的な施策とマクロ的な施策をバランスよく行うことが必要です。そもそも日本の景気は実はいざなぎ景気に並ぶ好景気なのですが、指標が好景気でも日本の多くの人や中小企業はそれ実感できていないのが現実です。景気の良さが国民に行き渡るように、経済産業省として取り組みを行っていく必要があると考えています。
MACHIBIYAインタビュー
Q.オススメの本は?
A.「ローマ法王に米を食わせた男」
高野誠鮮氏の著書で、高野氏が羽咋市で実際に取り組んだことが書かれています。
Q.オススメのまちは?
A.自分が関わってきたまちは全てオススメですが…強いていうならば、潮来市と吉野町はオススメなまちです。とにかく自由に様々なことに挑戦できる素晴らしいまちです。
Q.大事にしていることばは何ですか?
A.つべこべ言わずにやってみる!
まず一歩踏み出して行動してみましょう!
まとめ
今回は藤田歩氏にご講演いただきました。
これまでまちづくりというと、「何をするか」ばかりに着目していたので、「どうなりたいか」が大事だということは新たな発見でした。
また、インプットとアウトプットのお話も印象的で、これまで私自身あまりアウトプットをしてこなかったなと感じました。ひとまず何でもいいからつべこべ言わずにやってみよう!と思います。
◆講師プロフィール
藤田 歩(ふじた あゆみ)氏
【経済産業省 課長補佐】
島根県江津市出身 51歳
商店街、少子化、農工商連携、研究開発、独禁法、
地域活性化、工業用水、先物取引などを歴任し、
現在、小規模企業の振興対策を担当
プライベートでは、JFA公認審判員、NPOふるさと活性隊、
千葉県知事委嘱・青少年相談員、ミス・ワールドジャパン審査員、
地方自治体職員向け研修などで活動
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