MACHIBIYAセミナー

未来の編集者必見!!「編集力が地域を変える!メディア編集のコツ」【第61回MACHIBIYAセミナー開催報告】

こんなセミナーでした!

POINT1 堀内氏の実体験に基づく「編集力」世界を変えた瞬間
POINT2 「Wants」を「Needs」に変える力
POINT3 取材8割ライティング2割→これが編集

第61回MACHIBIYAセミナーは、リクルートでじゃらんの雑誌編集・広告制作後、オールアバウト、サイバード、ハースト婦人画報社でWeb、スマホ等の様々な媒体での記事・雑誌編集を行う堀内茂人(ほりうち しげと)氏に講演いただきました!

 

数々のキャリアを経た経験から

リクルートメディアがなぜ世の中を圧倒したか

◆リクルートメディアが世の中を圧巻した理由
①徹底した取材
広告を取ってきた営業マンがその会社について根掘り葉掘り聞いて会社の魅力を引き出します。
②人を引き付けるようなキャッチコピー
徹底した取材から見えた企業の魅力をどれだけ鮮明にはっきりと会社の魅力を伝えるかを重視しました。
例)「この会社で社長の右腕になりませんか??」
→仕事の内容や、その仕事で得られることを延々と記事に書いたところで人は動きません。

そんな中で、堀内氏は国家公務員の外郭団体という分野での中途採用の流れを開拓します。国家公務員は中途採用需要がないと考えられていましたが、その外郭団体に目をつけ、その中で堀内氏が手掛けた、国際協力事業団(現JICA)の中途採用の広告を見て800人の人が応募をしました。

自分の作ったもので800人の人が人生を変えようと行動したことを知って、
堀内氏は編集メディアの魅力や力に魅了されました。

 

編集物を創るうえで大事な視点

メディアには大きく分けて2つあります。
感動メディア… 楽しい、悲しい、興奮する等の感情を生み出すもの
例) 映画、小説、漫画、ドラマ等
行動メディア… 行ってみたい、買ってみたい等の行動を引き出す
例)情報誌・サイト(じゃらん、食べログ等)、比較サイト、ECサイト

どちらも作り手がおり、編集されたメディアです。

(1)編集メディアの役割と機能
◎情報発信者側が受け手に「気づき」&「発見」&「共感」を与えること

(2)編集メディアのビジネス
以下のような、いくつかのパターンがある。
①情報の受け手に課金して収益にする(メディアの情報にお金を払って収益にするパターン)
②メディアに集めるユーザーに向けての直接課金と彼らへ見せるための広告掲載料を収益にする(広告主・メディア・ユーザーの”トライアングルハッピー”を生む)

(3)編集メディアづくりにとって必要な4つのコト
①何のために
・株式会社でやっている以上は「利益追求のため」
・社会的存在意義(人の役に立ちたい・新たな価値を知らしめたい)
→メディアが存在するためには不可欠!!
②誰のために
・ターゲットユーザーを設定することが重要。
・その人たちの考えていることをありありと自分の中でイメージできることが重要!提供する情報を欲しいと思う人たち
③何を(届けたい価値・メッセージは何か?)
・ターゲットユーザーが欲しがっている情報
・的確なNeeds(顕在化している欲求)とWants(潜在化している欲求)を喚起させるには、ユーザーを知るためのターゲティングが不可欠!

・一般的には①何のために②誰のためにを決めてから設定します。
④どうやって伝えるか
・媒体を考える。コツは実現したいことへの一番近道は?を考えること。紙?ネット?クロスメディア?コンテンツ提供側の腕の見せ所!!

◆R25の実例(25~35歳を対象としたフリーペーパー)
①何のために:リクルートの宣伝広告費を上げる。そのために、ナショナルクライアントを獲得する。
②誰に:25歳から35歳までの首都圏在住の電車通勤者
(背景)→徹底したデータ収集や直接のヒアリングで得た情報を分析
・社会にも慣れ、仕事でもプライベートでも自立したい世代で、実家暮らしのため、ある程度もお金を持っています。しかし、社会に対しての漠然と不安を抱えています。
・この世代はテレビも新聞も読まず、ナショナルクライアントの宣伝が届きづらいのは課題です。雑誌を読むとしたら、電車通勤の時間だけということも深刻です。
③何を
・今と向き合う安心感やモチベーションを与える記事
→読者目線で読者に寄り添える記事
(例)今社会で活躍している人が25~35歳くらいの頃にどんな苦労があったか
・インビテーションアクションを引き出すような記事
(例)クールなナショナルクライアントの広告、買いたくなるような
④どうやって伝えるか
・A4見開きで4コマ、800字程度で2~3分で読み切れる分量(1駅間1欄)
・都心駅のターミナル駅において、帰宅時間を見計らって配布

その結果は予想以上の反響で40歳以上の男性も女性も、ピックアップしていくような現象だったそう

こうした4つの視点を突き詰めることで人に刺さる情報を発信できる!!

 

メディア業界を目指すわかものへのメッセージ

堀内氏からのメッセージは2つ

①価値観を意識した編集
②自分本位の記事を書かない

まず、1つ目の「価値観を意識した編集」とは、
雑誌にはそれぞれの価値観を持ち、それに基づき情報を発信している。
こうした徹底した、共通認識の醸成が、芯の通ったぶれない雑誌を作るのに欠かせないという。
また、各媒体にはNGワードがあり、R25は「サルでもわかる」や「今さら聞けない」といった文言は上から目線になってしまい、読者目線に立っておらず、NGワードとされています。
じゃらんでは「楽しい」「おいしい」等感情をそのまま表す表現はNG。なぜなら、それを感じるために旅行に行ってもらったり、食べてもらったりすることが編集の役目だからです。興味をもって行動してもらえるように取材で得られた事実情報を元に情報を発信します。

 

次に、2つ目の「自分本位の記事を書かない」とは、
自分の興味での記事を書かない。誰への記事かをしっかりと意識して内容を決める。
しっかり取材から引き出したことを書く。こたつ記事(こたつの中に入っていても書ける記事)は、人々にとって魅力的なものにはならない。

しっかりとターゲットのWANTS、NEEDSをくみ取り、徹底した取材から書かれる記事は人々を引き付けることができる、と堀内氏はおっしゃっています。

質疑応答

Q.ニーズからウォンツを吸い上げるためには?
A.ターゲットとする人のことを、誰よりも理解すること!一言でいうと、「マーケティング力」を鍛えること。編集も結局は、マーケティングです。「VERY」や「STORY」といった女性雑誌の編集長が長い間男性だった、という例もあるように、「自分事」ではなく消費者目線で価値を考えることで上手くいくコツ。「自分マーケティング」でモノを作らない!それが一番大事。

Q.取材をうまくするためのコツは?
A.「事実情報を聞き出すこと」。たとえば、お菓子屋さんだったら「1番目~3番目に売れている商品は?どんな人がどれを買っていくの?どこから材料を仕入れてるの?」と、とにかく根ほり葉ほり聞くこと。1つ1つ事実情報を分解していき、とにかく多く仕入れた上でライターに渡す。そこから使えそうな情報のみを選択することで、キャッチや本文に使える。「人やモノにどれだけ興味を持てるか」が大事。

Q.紙からwebにメディアが以降することで、仕事をしていく上で意識的に変わった面などはある?
A.「誰に何を伝えるか」という本質的なものは変わらないので、たいして変わらないと思っている。唯一変わるのは、雑誌はパラパラめくれるけど、webは「クリックして次に進む」という読み進め方だから、全部読まないと分からないことが多いという点。結論ファーストなので、「1だけ読める」「2だけ読める」のような、トップページから読みたい部分を選んで読めるような構成にしないとなかなか読んでもらえない。

Q.誰にでもあてはめられそうな広告のターゲットをハッキリ決められないとき、どうやって絞ればいい?
A.最初に、その商品の特徴を掴む。そのうえで、「これに喜ぶのはどんな人?」という想像を巡らせてほしい。「カニを食べに北陸へ」だったら、「カニが好きな人」「甲殻類が好きな人」ですよね。あと、1人で蟹を食べてもおいしくないだろうから、みんなで食べに行きたくなるようなあらゆる言い回しを使って、煽ってみる。

Q.メディアにおけるユーザーの発信を使って編集に応用したりする?
A.年代が若い人は「SNS検索」、上の人ほど「web検索」をする傾向にある。SNSって今の気分を発信しているだけだからその情報自体には価値はない気がするけど、雑誌の「ELLE girl」は早くからそれに気づいていた。オフラインの紙が、オンラインの方でも盛り上がって冊子の存在感を示すために、ハッシュタグをつけることを長年やっていた。「紙発信のハッシュタグを盛り上がらせる」ということはしていた。既存にあるメディア発の盛り上がりを、ハッシュタグ等を使ってSNSに広めていくことはできると思う。

MACHIBIYAインタビュー

Q.オススメの本は?
A.1つは「原因と結果の法則」、2つは「7つの習慣」。仕事をしていく上で、大いに役立つと思います。メディアを目指す人だったらば、リクルートにいらした田端さんの「MEDIA MAKERS」という本はオススメです。

Q.オススメのまちは?
A.自分の住んでいた山梨は、山の斜面にブドウ畑があるのがいい風景。あとは東京に移ってきたときに住んだ吉祥寺。あとは、京都。京都では知られざる細かい文化にこだわった店がたくさんあるのが良いところ。

Q.大事にしている言葉は?
人間万事塞翁が馬!今自分に起きたしんどいこと、つらいことは必ず何か自分にとって良いことになるはず。

まとめ

今回は堀内茂人氏にご講演いただきました。

堀内氏の様々なキャリアを経た経験からの編集のお話しはとても学ぶものが多く、私もこれからいろんなものの制作に携わっていく中で、今日学んだコツや、注意点をしっかり意識していこうと考えました。
情報社会において様々な情報が膨大に氾濫している中で自分の作成物をみてもらうために必要な視点を今回のセミナーで学ぶことができました。

◆講師プロフィール
堀内 茂人(ほりうち しげと)氏
1966年、山梨県生まれ。株式会社リクルートに就職し、じゃらん事業部で雑誌編集・広告制作を担当。12年間勤務後、株式会社オールアバウトに出向後、転籍しWeb雑誌編集、その後株式会社サイバードでモバイル媒体編集、株式会社ハースト婦人画報社でファッション雑誌ELLE JAPONのWeb版、ELLE onlineの統括責任者として活躍。その他、2008年には慶応義塾大学メディアコミュニケーション研究所にて3・4年生向けの「メディア特殊講義Ⅱ」の講義を受け持つ。

これまでの開催報告はこちらから!!

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