MACHIBIYAセミナー

【開催報告】「脱観光の取り組みで⾒えてきた観光の新たな形とは? with コロナ時代に取り組む⾦沢着地型体験ツアー」

こんにちは!MACHIBIYA 編集部です!
7月20日に第88回MACHIBIYAセミナーを開催いたしました!

今回のテーマは『脱観光の取り組みで⾒えてきた観光の新たな形とは?  with コロナ時代に取り組む⾦沢着地型体験ツアー』でした。

講師には株式会社こはくを創業し、様々な観光事業を展開されている山田滋彦様をお招きし、新型コロナウイルスの影響により大きく転換した事業の経緯や、そこから掴んだマーケットや消費者ニーズの変化について講演していただきました!

山田 滋彦様プロフィール

京都の大学を卒業後、 総合商社でアフリカ、中近東等の海外の自動車事業開発や管理、米系総合コンサルティングファームで、製造業向けの事業計画立案からトランスフォーメーションの実行を支援に従事。2018年に金沢へ移住し、株式会社こはくを創業。古民家再生、着地型体験やお取り寄せグルメ事業など様々な観光事業を展開。

こんなセミナーでした!

POINT1:地域の魅力を残し伝えていくために
POINT2:今にいきている過去の経験
POINT3:コロナ禍で見えてきたニーズ
POINT4:コロナ禍での変化を踏まえたオンラインツアー

POINT1:地域の魅力を残し伝えていくために

◼︎事業で大事にしている3つのこと
山田様は、商社やコンサル会社を経た上で、地域の資源や人の魅力に惹かれるとともに魅力を伝えきれていない現状に課題を抱き、事業を起こしてきた。コロナ前までは古民家再生と着地型体験事業を主に展開してきたが、そんな中で大事にしていたことが3つあるようだ。

それは「意義」「シビックプライド」「連携」である。金沢では町家が年間70軒もなくなっており、山田様にとって日本の財産として一軒でも多く残していきたいという「意義」が事業の原点となっている。せっかく町家を残すなら、地元の人に愛され、誇りに思ってもらい、「シビックプライド(の醸成)」が生まれるような空間を作ることを大事にしている。また、自分達だけでできることは小さいことだと自覚し、他者や地域の人と積極的に「連携」していく姿勢をもつことも意識されているそうだ。

◼︎「教育」で町家の価値を伝える
現在では教育という観点にも注力しており、実際に次の世代を担っていく子供達に地域の良さに気づいてもらうことに加え、豊富なアイデアや発信力を活用し、町家の価値の浸透に尽力されている。

POINT2:今にいきている過去の経験

◼︎失敗してもやりきる
山田様も受験、就活、社会人になってからも失敗が絶えなかったと話していたが、そんな多くの失敗が糧となり今に生きているようだ。コロナ禍で破綻寸前になっても前向きに頑張れるタフさや一個ずつの失敗が事業の準備にいきているのだ。

Machibiya恒例のインタビューで座右の銘をお聞きした際にも、やりきることが大事だと話しており、失敗しまくる人生でも失敗を糧にして成功するまでやりきればそれでいいと話していた。一見関係ないような様々な経験も今の事業にいきているが、中でも失敗の連続でもやりきることの大切さが最も重要であるように感じた。

POINT3:コロナ禍で見えてきたニーズ

◼︎コロナ禍での変化
今でこそ当たり前だが、コロナ禍ではあらゆる変化を私たちに与えてきた。中でも山田様はそれらの変化により物事の本質的なニーズが顕在化し、いらないものが削ぎ落とされていっていると話していた。
具体的には、暮らし方や働き方の多様化に加え、巣篭もり時間が増加している。そんな中で市場においても移動や泊まる、食べるなどの境界がなくなってきていると指摘していた。

◼︎持続可能性を考える重要性
また、持続可能性が日本国内でも意識されるようになり、観光業界でも海外に遅れを取りつつも重要性が認知され始めてきた。多くの国際認証が存在する中で訪日観光客にとって持続可能性の考え方は不可欠になると考え、株式会社こはくも取得に向けて動いているそうだ。

POINT4:コロナ禍での変化を踏まえたオンラインツアー

◼︎オンラインツアーの背景と課題
山田様は、コロナ禍での変化を踏まえた新たなサービスの展開にも果敢に挑戦し続けている。代表的なものとして、移動が難しくなっている中でも地域の食材を楽しんでもら
うためにお取り寄せグルメや、市場を介した地域住民との関わりをオンライン化するオンラインツアーのようなものがある。

オンラインツアーに関しては吉田(地域ブランディング研究所、社員)も協力して進めていたが、山田様の「やり続けることの大事さと地域ファーストな姿勢」を強く学んだそうだ。始めはジャストアイデアなものでも、やり続けることでお客さんのニーズも合ってくるし結果として現地に行ってもできないことという新たな価値の創出に繋がっている。そんな中でも山田様は、地域を第一に考える姿勢は怠らず、事業としての利益を追求しつつも、地域の方々が何を望んでいるのか、オンラインツアーが地域にとってどんな価値があるのかを考え続けている。

オンラインツアーは集客がどの分野でも課題になっていることに対し、現在進行形でどうすれば多くの人に知ってもらい使ってもらえるか、出てきた課題一つ一つに向き合い、仮説を立てて実行しつづけている。

◼︎タビナカだけで終わらない観光
これらの事業変容の中で大事にしているのが「タビマエ、タビナカ、タビアト」の考え方だ。現状はタビナカに終始してしまう体験がほとんどだが、山田様は、お取り寄せのタビアトを活用して広くお客さまと接点を持つことを考えているのだ。

オンラインツアーにおいても、オンラインツアー単体でなく、オンラインツアーにしかない価値と、オンラインツアーに足りない価値をプラスで合わせることができると山田様は考えている。

質疑応答

Q1: 子供のアイデアを引き出すためにどのような工夫を行なっているか。
A1: 2つある。1つ目は、先生を尊重する。先生は普段から子供一人一人を見ていて特徴なども把握しているので、先生と連携をして授業を設計したり動いたりする。2つ目は、いいインプットを与え続ける。例えば、授業の中で伝統工芸品がでてきたら、一流の職人を呼んで作り方を教えてもらうことで子供たちのアイデアが深まる。

Q2: 古民家再生に関して、周りの理解が進んだことによって生まれた課題はあるか。
A2: 2つ課題がある。1つ目は、古民家に限った話ではないが、日本人はこれがいいと思うと作りすぎてしまう。京都はホテルを作りすぎた。街は泊まる以外にもいろんな機能があるのでバランスよくやるべきなので、条例とかのルールで街並みを守るべき。2つ目は中途半端な改修は避ける。細部までこだわる。費用面は確かにわかるが、取ってつけたような装飾にならずに細部までこだわることで地域の人に愛されるものになると信じている。

Q3: 地域の人と関係構築をしていくためにどうすればよいか。
A3: 住民票を移す。税金、お金をしっかり払う。地元を尊重する。地元の人ができないことを続ける。

Q4: 今後のビジョン、やっていきたいことはあるか?
A4: 観光産業を持続可能にしていきたい。楽しく楽して稼ぎたい。今やっている事業も、まず長時間労働しなくても稼げる状況を作ることで、観光産業全体がヘルシーになって持続可能になり、いいものをお客さんに届け続けられると考えている。

Machibiyaインタビュー

(講演いただく方の「おすすめの本」「座右の銘」「おすすめの街」を伺うコーナーです!)

◆おすすめの本は司馬遼太郎さんの「峠」
新潟の長岡藩が明治維新の渦中で自ら国を作って行こうと新しい道を切り開いていく話。地域においても、地域の人にはできないことをやらないと自分の価値はないと思っており、地域の人が想定していない事柄にも新しい価値をもたらせることが大事だと考える源になっている。

◆座右の銘は「とにかくやりきる。」
失敗しまくる人生の中でも、失敗を糧にして成功するまでやりきればそれでいい。

◆オススメの街は「広島」
面白いところがいっぱいあるので最近ハマっている。その中でも生口島が景色、宿泊施設、飲食店も素晴らしい。

まとめ

山田様のお話を受けて参加者からは以下のような感想が上がりました。「地域の方が見つけられなかった地元の価値や考え方に挑戦できることがよそものの価値であると学びました。」「成功するまでやり続けることと地域の方々を第一に考えながら、観光に捉われずに物事を考えることの大切さを勉強させていただきました。」
私自身、人々の生活様式が変化している今だからこそ、まだ浸透していない新しい価値に可能性を見出し、日々トライアンドエラーを繰り返されている姿勢が非常に勉強になりました!
今回の講演を快諾してくださった山田様、そして参加者の皆さま、本当にありがとうございました。

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