目次
街のためになること-有名建築家がリノベーション設計!ONOMICHI U2の事例など-【2017/8/24開催】
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こんなセミナーでした!
POINT1:大手商社から地元、広島へ
POINT2:デザインへのこだわり、ONOMICHI U2
POINT3:理念を大事に
地元、広島へUターン
第48回MACHIBIYAセミナーはディスカバーリンクせとうち 代表で広島県議会議員もされている出原 昌直氏にご講演頂きました。
出原氏は大学卒業後に伊藤忠商事に9年間勤められたのちに、地元である広島にて繊維の事業をされていました。“街のためになることをしよう”としたきっかけは、尾道で造船業をやっている先輩だそうです。その先輩は何千人もの雇用を抱える造船業の社長でしたが、このままでは雇用を維持できず街が廃れてしまうと感じ、出原氏を含む業種の違う5人で事業を始められ、現在では120名のメンバーとともに働かれています。
ONOMICHI U2
もともとは県営上屋2号という名前の倉庫だった場所をリノベーションし、サイクリストに向けた複合施設をつくりました。尾道には西側に人の動線がなく、県の公募条件は西側に年間15万人の流れをつくりたいというものでした。
大型の施設ということもあり、事業を始める時は大手資本を入れることも考えましたが、瀬戸内独自の資本でやりたいと考えていました。ONOMICHI U2は当初、サイクリング推しの宿だったので、自転車を持ってないと泊まれないと思われていたようです。また、レストランが併設されていて、そちらの集客が苦戦すると予想されましたが、地元の人にも受け入れられ、予想以上の成果を出すことができました。
地元の方に「尾道にオシャレしていく店ができた」「県外の人からONOMICHI U2の話を聞くことが増えた」と言われた時は嬉しかったです。
ONOMICHI SHARE
街を歩いていた時に海辺で写真のような建物を見つけ、調べてみました。
行政の書類を保管する書庫だったのですが、再利用のアイデアを市が公募することとなりました。これをONOMICHI SHAREというシェアオフィスに生まれ変わらせ、アイデアが生まれるクリエイティブ空間として、使って頂いています。
尾道デニム
リアルユーズドデニムをつくってみたいというアイデアが出てきました。
実際にデニムを履いてもらって、ユーズド感のある“個性あるデニム”をつくるという企画です。
女性スタッフが様々な手法で告知をし、270名もの協力者を見つけてきました。
実際にやってみると、業種によってダメージの強さや場所が全然違うので、面白かったです。
そうやってできたデニムを商店街の使っていなかったスペースで販売し、好評を得ることができました。
尾道自由大学
もともと世田谷に東京自由大学というのがあり、廃校を使って仕事帰りに5人くらい集まって楽しそうに勉強していました。今でもみんながやりたいことを勉強しており、尾道でもそれを実行に移していきました。他のエリアではないような授業をやると、東京や大阪からわざわざ新幹線代を出してまで聞きに来てくれる人がいるぐらい面白いコンテンツを実施しています。
建築プロジェクト
この事業には世界的な建築家の方がたくさん関係してくれています。
中でも印象的だったのは、ONOMICHI U2の企画が進行していく中で、デザイン担当の女性が「もう一度、設計を見直すためにもインドへ行きたい!」という発言から、実際に現地を訪れたことです。その時にお会いしたかったスタジオ ムンバイのビジョイさんという建築家にも会え、ゆっくりお話をさせて頂くことができました。
その後もご縁があって、アパートのリノベーションをビジョイさんにお願いすることになりました。
せとうちと共に生きる
今日、話してきた事業というのは全て兼任で同時に進めてきたものです。
創業時の5人のメンバーは街のためになることをしようと考えていました。しかし、地元の住民の目には一体何をするんだ?というように映っていたようです。
時間を掛けて少しずつ、理解をしてもらえるようになってきました。
企業というのは事業性が第一で、その上で社会に貢献するべきというのが一般的ですが、ディスカバーリンクせとうちは理念が優先でできています。
創業以来、ずっとそのスタンスでやってきています。
そして、今では広島県の県議会議員もしています。
ディスカバーリンクせとうちの活動を通して、政治と民間が同じ方向を向けるようにしていく必要性があると感じたからです。
双方の視点から、これからも街のためになることを考えていきます。
最後に、創業時の想いを伝えるためにこの言葉を読ませて頂きたいと思います。
「 せとうちと共に生きる 」
このまちの未来に
私たちは何ができるのだろうか。
100年先にも誇りを持てるものを残すため
これまでの瀬戸内とこれからの瀬戸内の価値を見極め
前例のない挑戦だとしても、まずやってみる。
そんな思いがあるからこそ生まれた
地域や国を越えた人たちとの出会いによって、
まちと向き合うことの大切さを改めて、実感している。
尾道で培ったことを、どこへ行っても変わらぬ姿勢で
世の中に前向きな変化を常にもたらすことができるように。
せとうちから世界へ、世界からせとうちへ
この町から新たな可能性を創出していきたい。
私たちは、そう考える。
まとめ
出原様の地元は繊維のまち・福山市で、海外生産拡大による日本の地場産業衰退の危機を身近に感じたことをきっかけに、ディスカバーリンクせとうちを立ち上げ、“街のためになる”数々の事業を展開されてきました。
常に足を動かして話を聞きに行き、必要なものを感じ取って行動する力が大事なんだと学ぶことができました。
講師プロフィール
出原 昌直氏(ディーフィールド代表取締役社長/ディスカバーリンクせとうち代表/広島県議会議員)
広島県福山市新市町出身。法政大学経済学部卒。
大学卒業後、伊藤忠商事へ入社。9年間勤めたのちに伊藤忠商事を退社、Uターンし、自ら立ち上げた繊維会社の株式会社ディーフィールド 代表取締役社長に就任。平成24年6月 ディスカバーリンクせとうち 代表に就任。平成27年4月 広島県議会議員 就任し現在に至る。(2017年8月時点)
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