MACHIBIYAセミナー

第91回MACHIBIYAセミナー 開催報告『職住育をもとに、多様性に富んだコミュニティをどう育てていくか』 〜巣鴨 Ryozen Park の挑戦〜

こんにちは!MACHIBIYA編集部です!

 

2023年9月20日に第91回MACHIBIYAセミナーを開催いたしました!

 

今回のテーマは『職住育をもとに、多様性に富んだコミュニティをどう育てていくか
〜巣鴨 RYOZEN PARK の挑戦〜』でした。

 

講師には、株式会社TAKE-Zにて現在シェアハウス「RYOZAN PARK」を運営されている竹沢徳剛氏をお招きし、 RYOZAN PARKの事例から様々な属性の人々が活発に交流する次世代の地域コミュニティの在り方について講演していただきました!

 

竹沢徳剛氏プロフィール

東京都豊島区出身。東日本大震災をきっかけに「新しいコミュニティ」の必要性を感じ、当時在住していたワシントンD.C.から帰国。その後、2012年に「RYOZAN PARK巣鴨」、2014年に「RYOZAN PARK大塚」を開設。近隣住民などを巻き込みながら巣鴨・大塚エリアで東京の「村づくり」を実践している。

こんなセミナーでした!

POINT1:RYOZAN PARKが生まれるまで

POINT2:RYOZAN PARKでコミュニティを生み出す取り組み

POINT3:「コミュニティ」をつくる上で大切な考え

POINT1:RYOZAN PARKが生まれるまで

◼️東日本大震災を受けて

竹沢氏は東日本大震災の発生時、ワシントンD.C.に在住していた。現地の報道番組から、「震災で日本人は何を考えているか」というインタビューを受けたがうまく答えられなかったことに悔しさを感じたそうだ。

そこで竹沢氏は何かしなければならないと感じ、現地のファンドレイジングなどの活動を始めた。その中で、多様なバックグラウンドを持つ若者たちが、祖国のために取り組んでいる様子を見て心打たれたそうだ。また、当時アメリカに在住していたからこそ、「日本には在日〇〇人のようなカテゴライズでしか人間を見ることができない風潮がある」とも感じたという。

 

◼️RYOZAN PARKのはじまり

東日本大震災に対する活動を経て、竹沢氏は「世界中から多様なバックグラウンドを持つ人が日本に集い、コミュニティを形成していくような社会があっても良いのではないか」と感じ、帰国した。帰国後は地元巣鴨にて、竹沢氏の曾祖父母の土地に建ててあったオフィスビルを改修し、シェアハウスにすることで新しいコミュニティづくりを始めた。これがRYOZAN PARKのはじまりである。

 

POINT2:RYOZAN PARKでコミュニティを生み出す取り組み

◼️RYOZAN PARKの日常

フランス人やイギリス人、アメリカ人などの多国籍の人が住んでいる。家賃は10万円であるため、稼いでいるもののあえて一人暮らしをせずに多様な人と暮らすことを選んだ人が多い。

日常的に飲み会や筋トレのできる空間が備わっている。他にも、ローカルな餅つき大会や音楽イベント、講演会、会議…など様々な用途で使用されている。

シェアハウス内で結婚するカップルも多く、なんと20組以上結婚し、30人以上の子どもが生まれている。

 

◼️「消滅可能性都市」「待機児童」などの社会課題解決も

RYOZAN PARKが発足してまもなく、豊島区はワンルームマンションの多さや保育園の少なさなどが原因で、これから子育てをする女性たちに優しくない街だと判断された。コミュニティ内でも、本課題に対して「行政だけでなく自分たちも動かなければならない」とシェアされた。

働く環境や子育てする環境を自分たちで作るためにワークショップが行われ、託児所つきのシェアオフィスなどが設けられた。また、複雑なプロセスを経て完全英語の託児所を開業し、海外にルーツのある子どもたちも育て働ける環境が整備された。

 

◼️難しい話をしていては駄目だ

60年前に大塚へやってきたイスラム教の人から依頼を受け、2,3ヶ月に一度ハラールのビリヤニを食べる会を開催している。竹沢氏によると、「難しい話をしていては駄目だ!仲良くなるには同じ釜の飯を食わなければいけない!」というような、イスラム教の人の言葉をきっかけに意気投合したそう。

POINT3:「コミュニティ」をつくる上で大切な考え

◼️正しい「コミュニティ」の形とは

近代以前は共同体のようなものが強かったものの、家族やコミュニティは弱くなり個人を強化する時代へと移り変わった。しかし、弱者になってしまう人も多く、格差が生まれ広がってしまっている現状がある。その中で竹沢氏は、新しいコミュニティの形や家族の形の答えは現在無く、模索しているという。

 

◼️「持ち出し」覚悟の私人から共同体は立ち上がる

竹沢氏は、内田樹著「サル化する世界」p.266記載の「『持ち出し』覚悟の私人から共同体は立ち上がる」という言葉に共感されている。

パブリックドメインを作り出すのは政府や自治体などではなく「私人」である。私利の抑制を追求し、私有財産の一部を差し出すことで、はじめてそこに「みんなで使えるもの」が生み出される。そのため、私人たちが持ち寄った「持ち出し」の総和から「公共」が立ち上がる。

 

◼️その他のキーワード

竹沢氏は他に、自ら意識的に人間関係を構築し、「自己再生のコミュニティ」を築くことの重要性やアート作品を見て心や価値観を揺さぶらせる「寛容性」の重要性を強調されていた。

 

◼️締めのお言葉

頭で考えることだけでなく、体で感じることが重要。優等生で生きるのではなく、野生を蘇らせて本能で生きよう。

 

質疑応答

Q.地域の人との関係性を持ったきっかけは?

 

A.若い頃から新しい活動を始めたいと考えたため、町内会などの昔からのコミュニティに迎合しなかった。古くからあるコミュニティ層から距離を置きながら「こういうコミュニティを作りたい」という想いを持ちながら行動することで、周りの人が歩み寄ってくれたことがあった。そのため、自分たちのような新しいコミュニティ層と昔からのコミュニティ層がリンクするところを少しずつ増やしていくやり方が良い。しかし、独りよがりでは難しいため、同じような考えを持つ地元の知り合いと協力して進めた。

 

Q.「同じ釜の飯を食うこと」と「地域の飲み会をすること」の違いは何か?

 

A.同じ釜の飯の違う食べ方があると思う。地方だと「狩猟して捌くこと」や「山菜を取りに行く」など、縄文時代の狩猟のようなところから同じ釜の飯を食べる方がホテルでビュッフェなどを一緒に食べるよりも結束力がさらに高まりそう。その点、餅つきなどはすごく良い。

 

Q.RYOZAN PARKの最初の頃はどのような人が集まったのか?

 

A.「昔からの知り合いである高校の先輩」、「大震災に対する活動で出会った人」、「父の同僚」の3人をコミュニティに入れるところから始まった。また、コミュニティに加わる人を選ぶ際に妥協しなかったことが成功した1つの理由である。見返りを求めずに一肌脱げる人をコミュニティに入れることが重要。

 

まとめ

竹沢様の講演を受けて、「コミュニティマネジメントという言葉だけに縛られない役割を果たされている印象でマインドが素晴らしいと思いました。」「シェアオフィスより良くしようというよりも地域全体を盛り上げていくという印象を受け、今後の活動内容がどう大きくなっていくのか楽しみです。」といった好評をいただきました。

 

私自身、コロナ禍を経て「コミュニティ」の重要性を再認識したこともあり、多様なコミュニティづくりに携わってこられた竹沢様の考え方は、大変勉強になるものだったと感じております。

 

今回の講演を快諾してくださった竹沢様、そして参加者の皆様、本当にありがとうございました!

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